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アレン類の捻じれたフロンティアオービタル

(著)山たー

炭素数が奇数のアレン類のフロンティアオービタル(HOMOとLUMO)は捻じれた形をしています。今回は、そんなアレン類のHOMOとLUMOを3Dmolで見てみましょう。計算はDFT B3LYP/6-31G(d)で行いました。

 

この記事を書く上では

C. H. Hendon, D. Tiana, A. T. Murray, D. R. Carbery and A. Walsh, Helical frontier orbitals of conjugated linear molecules, Chem. Sci., 2013, 4, 4278–4284

を参考にしました。

 

Propa-1,2-diene

HOMO

LUMO

Penta-1,2,3,4-tetraene

C5H4の分子。炭素が5つ(penta)、二重結合(ene)が1,2,3,4の位置に4つ(tetra)なので、Penta-1,2,3,4-tetraeneと命名します。

 

HOMO

Hepta-1,2,3,4,5,6-hexene

C7H4の分子。炭素が7つ(hepta)、二重結合(ene)が1,2,3,4,5,6の位置に6つ(hex)なので、Hepta-1,2,3,4,5,6-hexeneと命名します。

 

HOMO

LUMO

フロンティアオービタルが捻じれる理由

教科書的にp軌道間のπ相互作用を描くと次図のようになります。

これでも説明できているように思えますが、実はHOMOとLUMOは縮退した軌道がそれぞれ2つあり、それぞれが右回りと左回りのらせん型となっています。そのため、上図だけでは完全に説明することはできていません。結局のところ、計算してみないと分からないということです。