問いかけ。

服屋さんのアナウンスを何気なく聞いてたら、「血のボトムスがお得です」って言ってたんですよ。「そうか、最近の若者は真っ赤なズボンのことを『血のボトムス』というのか、にしてもすごいネーミングセンスやな」と一人で納得してたんですけど、後から冷静に考えたら、普通に「チノボトムス」でした。電車の中でそれに気づいて、一人で爆笑してました。

 

ざっきぃです、こんにちは。

 

今日は皆さんに、一つ質問をしたいと思います。

 

クラシック音楽と、それ以外の音楽との根本的な違いは、何だと思いますか?

 

「それ以外の音楽」というと、少し括りが大きすぎますね。話がややこしくなるので、ミュージカルと一部のジャズ、そして民族音楽のような特殊なものは除外して、皆さんがよく聞くようなJ-POPや洋楽、映画音楽などをイメージしてくれるといいです。クラシック音楽とポップスが違うのなんて当たり前でしょ、という声が聞こえてきそうですが、僕が聞いているのは「本質的な」違いです。以下のような答えは、全て不正解です。

 

1. クラシック音楽に歌詞はないが、他の曲には歌詞がある。


この解答は論外です。声楽やオペラは、クラシック音楽の最も重要な分野です。また、ボーカルのないポピュラー音楽は普通に存在します。

 

2 クラシック音楽は古い時代に作られた音楽だが、それ以外の音楽は最近作られている。


「クラシック」は「古典」という意味なのでよく誤解されるのですが、現代にも「クラシック音楽」はたくさん作られています。例えば、現代音楽の大家、オリヴィエ・メシアンの大作オペラ「アッシジの聖フランチェスコ」は、1983年に初演されました。これは、洋楽の名曲"Last Christmas"の出版された年と同じです。また、ウィーンやベルリンといった都市では、毎年のようにクラシックの新曲が初演されています。

 

3 クラシック音楽はピアノやオーケストラによって奏されるが、他の曲はギターやドラム、ベースなどを使用する。


当たらずとも遠からずなのですが(さすがにドラムやベースを用いたクラシック音楽は存在しないので)、実はこの答えも本質的ではありません。例えば、「スター・ウォーズ」という映画のテーマ音楽は、フル・オーケストラが演奏しています。映画に出てくる録音はロンドン交響楽団によるもので、最近はウィーン・フィルなどの名門オーケストラがこの曲を演奏することも多いです。にも関わらず、「スター・ウォーズのテーマ」はクラシック音楽とは言えません。なぜでしょう?

 

4 クラシック音楽は純粋な芸術だが、ポップスは商業目的で作られている。


確かにほとんどのポップスは商業目的ですが、「クラシック音楽は商業目的で作られていない」というのは間違っています。モーツァルトの手による音楽のほとんどは、金銭を得るための演奏会目的で作られていますし、チャイコフスキーのバレエ音楽なんかも自発的にではなく、「劇場から頼まれて」書かれたものです。

 

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どうでしょう、答えがわかりましたか?この問題を考えることは、クラシック音楽の本質を捉えることに繋がります。これが文学や映画なら、境界は非常に曖昧です。いまどき純文学と大衆文学なんて区分は死語に近いですし、アカデミー賞を取るような「芸術としての映画」と、「ジュラシック・パーク」のような娯楽映画に何の違いがあるのか、と問われると、言葉に詰まってしまいます。ところが音楽という芸術は独特で、たった一つの特徴が、音楽を明確に二種類に分けています。

 

正解は次回書きましょう。今日はこのへんで。