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ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2018のプログラム

ざっきぃです、こんにちは。

 

来年1月1日に行われる、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるニューイヤー・コンサートのプログラムが先日公開されました。指揮は、14年ぶり5度目の登場となるイタリアの巨匠、リッカルド・ムーティ。毎年、翌年の指揮者はコンサート後すぐに発表されますが(つまり本番の一年前ですね)、曲目が公開されるのは11月の中旬ごろです。

 

プログラムは、以下の通りです。

 

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~第一部~
ヨハン・シュトラウスII
喜歌劇「ジプシー男爵」より入場行進曲

 

ヨーゼフ・シュトラウス
ワルツ「ウィーンのフレスコ画」Op.249

 

ヨハン・シュトラウスII
ポルカ「嫁さがし」Op.417
ポルカ「浮気心」Op.319

 

ヨハン・シュトラウスI
マリア・ワルツOp.212
ヴィルヘルム・テル・ギャロップOp.29b

 

~第二部~
フランツ・フォン・スッペ
喜歌劇「ボッカチオ」序曲

 

ヨハン・シュトラウスII
ワルツ「ミルテの花」Op.395

 

アルフォンス・ツィブルカ
ステファニー・ガヴォットOp.312

 

ヨハン・シュトラウスII
ポルカ「百発百中」Op.326
ワルツ「ウィーンの森の物語」Op.325
祭典行進曲Op.452
ポルカ・マズルカ「町と田舎」Op.322
カドリーユ「仮面舞踏会」Op.272
ワルツ「南国のばら」Op.388

 

ヨーゼフ・シュトラウス
ポルカ・シュネル「短いことづて」Op.240

 

ヨハン・シュトラウスII
ワルツ「美しく青きドナウ」Op.314

 

ヨハン・シュトラウスI
ラデツキー行進曲Op.226
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このコンサートとは相性のいいムーティとだけあって、後半に「ウィーンの森の物語」「南国のばら」という、「超」の字がつく正統派のレパートリーを二曲ぶつけてきました。弱冠30歳のドゥダメルが指揮した昨年のプログラムは、意欲的だった反面耳についた曲が非常に少なかったと記憶しているので、嬉しい限りです。コンサートの最初に、これまた定番の「入場行進曲」が来るのも懐かしい。

 

一方コンサートの中盤は、例年通り、ニューイヤー・コンサートでの初演奏曲が続々と登場しています。中でも目に付くのは、アルフォンス・ツィブルカという見慣れない作曲家。19世紀後半に、ウィーン軍楽隊長を勤めた方ということです。毎年ニューイヤー・コンサートでは、その年のアニヴァーサリーにちなんだ曲目が披露されますが(2015年はウィーン工科大学の創設200年ということで「学生ポルカ」が、一昨年は第一回国連総会が開催されて70年にあたることにちなんで「国連行進曲」が演奏されました)、この選曲にも何か裏話があるのでしょうか。それはともかくここ数年、ワルトトイフェルのワルツが二年連続で入ったり、スッペやレハール、ツィーラーなど、シュトラウス一家の曲だけでなく同時代に活躍した作曲家の曲が積極的に盛り込まれています。特にスッペの序曲は毎年のように耳にしますが、これも時代の流れなのでしょう。

 

第一部ではシュトラウス一家の少し耳慣れない曲が並びます。毎年第一部ではワルツが二曲並びますが、昨年に続いて二曲とも初演奏のもの。前半のトリを飾る「ヴィルヘルム・テル・ギャロップ」も初めてですが、ロッシーニの同名のオペラにあやかったのでしょうか、盛り上げ方に期待が高まります。

 

今年で76歳を迎えたムーティ。ウィーン・フィルとの関係は1973年から続いており、存命中の指揮者の中では、最もこのオーケストラを知り尽くしていると言えるでしょう。アバド、マゼール、アーノンクール、ブーレーズと巨匠が次々と他界し、指揮者の世代交代が本格的に進む中、クラシック演奏の黄金時代を知るムーティの存在感は増しています。満を持しての登場が、今から楽しみです。