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前奏と最初の数小節

何気なく新聞の広告を見ていたら、「今週末はイタリアに行こう」というコピーがあったんです。

 

テーマパークみたいなノリで海外に行くなんて時代も変わったものだなあ、どこの旅行代理店の広告だろう、あるいは本場顔負けのおしゃれなイタリア料理店かな、だとしたらなかなか乙な発想だな、などと思いを巡らしながら広告元を見ると、家具のイケアでした。あれ?と思ってよくよく見直すと、「イタリア」ではなく「イケア」。「今週末はイケアに行こう」、なんだ、普通じゃないか。

 

ライターのざっきぃです。初投稿です、こんにちは。

 

こうやって定期的に文章を書くのって苦手なんです。なぜなら、初めの一文が出てこないから。最初の文章が書けたら、後はすらすら綴れるのはわかっているし、それだけの思いもあるんです、なのに、ひとたび書いてみて、これは違うな、僕の書きたい空気じゃない、とか考えてるうちに、結局タイミングを逃してしまうんですよね。

 

高校の時は新聞委員だったのですが、その時は何の苦も無く文章が書けていました。記事の初めって、5W1H的な基本情報を書く、みたいな定型がありますからね。じゃあこういう自由な文章でも型を作ればいいじゃないかと思って、初めに本文と全く関係ないエピソードを書くことにしました。そうすると、今まで進まなかった筆が(正確にはキーボードを打つ手ですが)どんどん進むのですから、不思議なものです。

 

考えすぎだって?うーん、でも最初って大事なんです。僕は本を読むのも好きなんですが、同じ趣味の友達に比べて、読了した本の数がすごく少ないんです。その理由は「最初の数頁」。ページをめくり初めた段階で、目を惹く設定とか面白い表現があれば読み進める気がするのですが、人物関係がよくわからなかったり、硬い文章が続いたり、あるいは平凡すぎると感じると、途端に続きを知りたい、という意欲を失ってしまうんですよね。似たようなご経験のある方はいらっしゃいますか?少し前に、又吉直樹さんの「火花」という小説が流行りましたが、途中から俄然テンポが良くなるのに、開始が肩に力が入りすぎていて、ちょっと損をしているなあという気がしました。まあ僕は、この本に限っては頑張って読み終えたのですが……。

 

音楽でも同じかもしれません。アプリか何かで見ず知らずの曲の最初の30秒くらいを聞いて、何か自分に合わないな、と思ったとします。よほど世間で流行っているとか、歌手に興味があるとか、友達が聞いているとか、そういう特別な理由がない限り、最後まで聞きとおす人は少ないでしょうね。流行る音楽のポイントは、実は前奏と最初の数小節にあるのかもしれません。もちろん、期待を裏切らないだけのサビも必要なんでしょうが。

 

そういえば一時期世間を騒がせたiPS細胞も、人口に膾炙しているiPodにあやかったという命名が、宣伝に功を奏しているのは言うまでもないですね。やはり、最初のつかみって大事です。僕も、ケーブルテレビの人気キャラクターにあやかって、「ざっきぃ」に…鵜の真似をする烏のような振る舞いはやめておきます。今日はこのへんで。