量子化学  ·  2017/11/11

Fireflyによる量子化学計算の始め方

　Winmostar無償版ではできない非経験的分子軌道法の計算を行なってみよう。使用するソフトはFirefly(旧PC GAMESS(General Atomic and Molecular Electronic Structure System))とFacio、及びMolekelである。それぞれの役割は異なり、Fireflyが計算ソフト、FacioがGUI(Graphical User Interface)、Molekelが描画ソフトである。ここでは、これらの入手方法について説明する。

 

Fireflyのダウンロード

　Fireflyを使用するためには、まずホームページでソフトを入手する。次に（ソフトはパスワードを入力しなければ解凍出来ないので、）メールを送ってパスワードを入手する。最後に入手したパスワードを用いてソフトを解凍する、というのが大まかな流れである。Firefly のホームページのURLは以下の通りである。

 

http://classic.chem.msu.su/gran/gamess/index.html

 

このページにおいて、Downloads を押し、利用規約を読んだ後、I agree を選択する。するとソフトがダウンロードできるページに移るので、自分のPCにあったソフトを選んで保存する。

　ダウンロードした Zip ファイルを解凍し、中にある License.pdf と readme.txt をよく読む。アプリケーションソフトを使用するためには Rar ファイルを解凍しなければならない。しかしこれにはパスワードがかけられている。readme.txt の中にも書かれているが、パスワードを入手するには Registration_email_template.txt などを参考にメールを作成して送る必要がある。以下はメールの書き方である。

 

To：gran@classic.chem.msu.su

Subject：Firefly registration

 

Dear Dr. Granovsky,

I have read and agree with the terms of the Firefly Quantum Chemistry Package License Agreement. Please provide me the required installation key.

My registration information is summarized below as requested:

1. 敬称

2. 名前

3. 身分

4. 所属

5. 住所（国際表記）

6. 国名

7. メールアドレス（所属団体のもの。個人なら gmail のみ可）

8. 電話番号（国際番号であり、日本なら+81 で始まる）

9. 使用する PC の数

10. 使用する PC の OS とその bit 数

11. 使用する PC のスペック（CPU）

Thank you very much in advance, （自分の名前（英語））

 

メールを送ると、以下のようなメールが何日後かに返ってくる。

 

Dear Colleague,

Thanks for registering as Firefly user!

The password for the official Firefly version 8.1.1

(valid for any binaries of version 8.1.x) is:

（パスワード（35 文字）

Note that all 35 characters are the parts of the password.

To unpack archive you need to use the original unrar, rar, or winrar software by rarsoft.

（以下それぞれの OS における利用方法が書かれている）

 

パスワードを入手したら、Rar ファイルを解凍する。なおこの解凍したファイルはできるだけ C ドライブ以外（D ドライブなど）におくべきである。計算結果のファイルがCドライブを圧迫することとなるからだ。

 

（追記）Cドライブに置かないと正しく動かない場合があった。計算時、以下のようなエラーが出た。 

Warning: Loaded file is not a GAMESS Output!
Warning: There is no optimized geometry!
Execution of GAMESS terminated abnormally
*** Firefly Output ***
*************************************
 ADDRESS 0x007FBB12 HAS INITIATED PROGRAM ABORT BECAUSE OF FATAL ERROR(S)
*************************************

 まずは、Dドライブにおいて、エラーが出ればCドライブに置こう。

 

ここまで終われば、Firefly は一旦おいておく。 

Facioのダウンロード

以下のホームページで自分の OS にあったプログラムをダウンロードする。

 

http://zzzfelis.sakura.ne.jp/

 

ファイルをダウンロードして解凍したら、とりあえず Facio.exe を開いてみる。デフォルト画面は以下の 通りである。

 

この状態では原子をおいたりすることはできない。File > Load New PDB File より、付属の PDB フォル ダの中の適当なファイル(CO2.pdb など)を読み込んで、その分子を編集することにより、計算したい分子の 形を得る。もしくは Winmostar などで構造を作り、pdb ファイルで保存したものを読み込んでも良い。編集方法についてはDocumentsフォルダの中のJP_Manual.pdf を読めばよい。大概の分子が PDB フォルダの中に入っているので、初めはそれを計算するのが良いだろうが、ここではとりあえずファイルを読み込めることを確認すればよい。

 

　次にFireflyとの連携について説明する。Facio.exe を実行すると、次のようなウィンドウが開く。

ここで Preferences > External Programs を選択すると、次のようなウィンドウが表示される。 こうして Facio と Firefly が連携されると、Firefly のフォルダの中に新しくFacioという名のフォルダが 作られる。以降 Facio を経由して計算されたデータファイルは、このフォルダの中に保存される。

 

Molekelのダウンロード

　以下のホームページの Download を選択した後、切り替わったページにおいて、使用するパソコンに適したものをダウンロードする。

 

http://ugovaretto.github.io/molekel/

 

ダウンロードしたファイルを解凍すると、bin フォルダの中に Molekel.exe が入っている。実行しても、 計算をしないうち（結果ファイルがない場合）は特に何かを描画することもできない（ただし分子モデル（pdb ファイルなど）は表示できる）ので、セットアップとしてはこれで終わりとなる。